診療日誌DIARY

DIARY診療日誌

診療日誌(3)  平成24年2月・3月 

2月4日、Aさんは左顎関節の痛みを訴え来院。調べてみると左の内側翼突筋(咬筋の一つ)が緊張したのが原因の左顎関節症であった。全身のバランスを整えて、筋の緊張を緩め顎関節を牽引して関節を広げると痛みは消失した。顎関節症は多くは咬合の異常が原因でおこることが多いが、全身のバランスが崩れて顎関節に歪みを作っている場合も多い。カイロでは全身のバランスを整え顎関節が正常になるように治療する。歯のかみ合わせを調整するだけでは顎関節の歪みが改善しないことが多い。歯科治療とカイロ治療の連携治療が出来ればベストである。

 2月17日、Bさんも顎関節の不調を訴えて来院。調べてみると右顎関節症であった。Aさん同様に全身のバランスを整えて顎関節を治療すると速やかに改善した。

 2月27日、Cさんは左耳の突発性難聴と耳鼻科で診断され、発症後5日目に友人に紹介されて来院。その友人も以前当院で突発性難聴が治った。突発性難聴や顔面神経麻痺、椎間板ヘルニアなどの神経障害はどこかで神経が圧迫されていて麻痺を起しているのである。神経症状は一日でも早く神経の圧迫を取り除いて神経の流れを回復しないと、その間に神経がダメージを受けて治療しても回復しなくなる。私は発症後2週間以内が分かれ目だと考えている。2週間を過ぎると神経のダメージの程度によるが回復しなくなることが多い。突発性難聴は内耳神経の麻痺であるが、脳硬膜が緊張していると脳硬膜を貫いている所で圧迫されたり、耳のある側頭骨が歪むと側頭骨の内耳神経管に入るところで圧迫されるようである。また内耳神経管は神経のほか血管やリンパ管も一緒に通っているため循環障害で血管やリンパ管が怒張すると神経を圧迫してしまうと考える。カイロ治療では脳硬膜の緊張を取り、耳のある側頭骨の歪みを治療したり、また頸部や胸郭の治療をして頭部の循環を改善し、血管やリンパ管の怒張を改善することによって効果を上げている。幸いなことにCさんも2回の治療で治癒した。

 3月5日、Dさんは1年位前に逆流性食道炎と診断を受けて内科で治療していた。カイロでは逆流性食道炎は横隔膜の機能異常による胃液の逆流と考えている。また胃酸過多の傾向のある人は症状が酷くなるので胃酸過多の原因を治療する。胃の入り口である噴門には括約筋がなく横隔膜が括約筋の代わりをして噴門を閉めている。よって横隔膜の働きに障害があると噴門がうまく閉じなくなって胃液が逆流してしまう。また胃液の分泌調整には胃相・頭(脳)相・腸相がある。胃相は胃に食べ物が入ると胃壁を刺激して胃液が分泌される。頭相は空腹を感じたり食事をイメージしただけで胃液が分泌され、逆に精神的にストレスを受けると胃液の分泌が抑えられて食欲が無くなる。腸相は十二指腸に胃内容が下がると胃液を含んだ内容物が十二指腸の粘膜を刺激して膵液や胆汁を分泌するとともに胃に胃液の分泌を抑制するように命令する。そのうち腸相が最も問題を起こしやすい。膵液や胆汁の分泌は十二指腸が渦巻状に蠕動運動をすることに依存していることが多く、時計回りに動くと膵液が分泌され反時計回りに動くと分泌が止まる。カイロでは十二指腸周辺の緊張を治療し十二指腸の蠕動運動を正常にして胃液の分泌を抑えている。Dさんも横隔膜の治療と十二指腸の蠕動運動を正常化することによって数回の治療で順調に回復している。

 3月15日、Eさんは2日前より急に左肩が痛くなり来院。調べてみると肩を挙上する上腕二頭筋の長頭腱が炎症を起こしていた。更に調べると上腕骨骨頭が上方に変位して肩甲骨の肩峰との間が狭くなっていて腱が炎症を起こしたのだと分かった。そこで肩が上方へ変位した原因を調べると、肩を下方に引き下げる広背筋が筋力低下を起こし、また上腕二頭筋と上腕三頭筋が緊張して肩を上方に引き上げていることが分かった。そこで肘関節の歪みを整え上腕二頭筋と三頭筋の緊張を改善し、腰椎の歪みを整えて広背筋の筋力を正常にしたら、肩関節が正常な位置になり挙上出来るようになった。更に腱鞘に水が溜まっていたので排液して治療を終えた。2日後に来院した時にはすでに痛みがほとんどなく、周囲の状態を整えて治癒した。